専従者控除とは?控除額と要件をわかりやすく解説

専従者控除とは?控除額と要件をわかりやすく解説

公開日 2026.08.24
専従者控除とは?控除額と要件をわかりやすく解説

専従者控除とは、個人事業主が生計を一にする家族に事業を手伝ってもらった場合に、一定額を経費として所得から差し引ける制度です。白色申告をしている方が対象で、配偶者は最大86万円、配偶者以外の親族は1人あたり最大50万円まで控除できます。ただし青色申告の場合はこの制度ではなく「青色事業専従者給与」という別の仕組みを使うため、混同すると申告を誤ってしまいます。

個人事業主として家族に事業を手伝ってもらっている方の中には、「家族に払った分は経費にできるのか」「配偶者控除とどちらが得なのか」と悩む方が少なくありません。専従者控除は要件や手続きを誤ると適用できなかったり、思ったより節税効果が小さかったりすることもあります。

この記事では専従者控除の仕組み、控除額の計算方法、青色事業専従者給与との違い、手続きの流れ、注意すべき落とし穴まで、順を追って分かりやすく解説します。

専従者控除とは何ですか?まず結論を解説

専従者控除とは、白色申告の個人事業主が生計を一にする配偶者や親族に事業を手伝ってもらった場合に、実際の給与支払いの有無にかかわらず一定額を必要経費とみなして所得から控除できる制度です。

通常、個人事業主が生計を一にする家族に給与を払っても、そのままでは必要経費として認められません。家族間でのお金のやり取りは恣意的になりやすく、税負担を不当に減らす目的で利用される恐れがあるためです。そこで税法は、家族への支払いを原則として経費に算入しない一方、代わりに一定の金額を控除できる仕組みを用意しました。

それが専従者控除です。

この制度の対象になるのは、白色申告をしている個人事業主に限られます。青色申告を選んでいる場合は、専従者控除ではなく「青色事業専従者給与」という別の制度を利用することになります。両者は名前が似ていますが、控除額の考え方や手続きの要否が大きく異なるため、まずこの違いを正しく理解することが出発点になります。

白色申告と青色申告の違いを押さえておくと、専従者控除の位置づけがより理解しやすくなります。

専従者控除と青色事業専従者給与はどう違いますか?

専従者控除は控除額が定額で上限が決まっているのに対し、青色事業専従者給与は労働の対価として妥当な金額であれば上限なく必要経費にできる点が大きな違いです。

控除できる金額の考え方が違います

専従者控除は配偶者86万円、親族1人につき50万円という上限が法律で定められています。実際にいくら支払ったかにかかわらず、この上限の範囲でしか控除できません。一方、青色事業専従者給与は、労働時間や業務内容に照らして妥当な金額であれば、上限なく全額を必要経費にできます。

売上規模が大きく、家族への支払いも多い事業者にとっては、青色事業専従者給与の方が節税効果は大きくなりやすい傾向があります。

事前の届出が必要かどうかも異なります

専従者控除は確定申告書に記載するだけで適用でき、事前の届出は不要です。これに対して青色事業専従者給与は、その年の3月15日まで(新規開業や新たに専従者が加わった場合は2か月以内)に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出しておく必要があります。

届出書には支給する給与の金額や範囲をあらかじめ記載し、その範囲を超えて支払っても経費にはできません。

比較表で違いを整理します

項目 専従者控除(白色申告) 青色事業専従者給与(青色申告)
控除額の上限 配偶者86万円、親族50万円 上限なし(妥当な金額まで)
事前届出 不要 必要
帳簿・給与台帳 特に義務なし 整備が望ましい
適用対象 白色申告者 青色申告者

このように、事業の規模や家族への支払い実態によって、どちらの制度がより有利かは変わってきます。将来的に青色申告への切り替えを検討している方は、専従者給与の届出時期も含めて計画的に準備することが大切です。

専従者控除の控除額はいくらになりますか?

専従者控除の控除額は配偶者が最大86万円、配偶者以外の親族は1人につき最大50万円です。ただしこれには上限計算のルールがあり、必ずしも満額を控除できるとは限りません。

控除額を決める2つの基準があります

専従者控除の金額は、次の2つのうち低い方の金額になります。

  • 配偶者は86万円、配偶者以外の親族は1人につき50万円
  • その年の事業所得等の金額を、専従者の数に1を加えた数で割った金額

2つ目の基準は、専従者に控除を配分しすぎて事業主本人の所得がマイナスにならないようにするための調整です。事業所得がそれほど大きくない年は、この計算式によって控除額が上限より少なくなることがあります。

具体的な計算例で確認します

事業所得(専従者控除前)が300万円で、配偶者1人が専従者になっているケースを考えます。専従者の数は1人なので、1を加えると2になります。300万円を2で割ると150万円となり、これは配偶者の上限86万円より大きいため、この場合の控除額は86万円です。

一方、事業所得が120万円で配偶者と子の2人が専従者になっている場合、専従者の数は2人なので1を加えると3になります。120万円を3で割ると40万円となり、これは配偶者の上限86万円や子の上限50万円よりも低いため、控除額は1人あたり40万円ずつ、合計80万円までとなります。

所得が小さい年ほど、この按分計算によって控除額が目減りしやすい点に注意が必要です。

控除額早見の目安表

事業所得の目安 専従者1人(配偶者)の場合 専従者2人の場合の合計目安
100万円程度 50万円程度 66万円程度
200万円程度 86万円(上限) 66万円程度
300万円以上 86万円(上限) 合計最大136万円

あくまで目安であり、実際の控除額は専従者の続柄や人数、その年の所得金額によって変動します。正確な金額は確定申告書を作成する段階で計算することになります。

専従者控除を受けるための要件は何ですか?

専従者控除を受けるには、控除対象となる家族が事業主と生計を一にしていること、その年の12月31日時点で15歳以上であること、原則として6か月を超える期間その事業に専ら従事していることが必要です。

満たすべき要件を確認します

  • 白色申告をしている個人事業主の事業に従事していること
  • 事業主と生計を一にする配偶者またはその他の親族であること
  • その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること
  • その年を通じて6か月を超える期間、その事業に専ら従事していること
  • 他の所得者の扶養控除や配偶者控除の対象になっていないこと

「生計を一にする」とは、必ずしも同居していることを意味しません。仕送りなどで生活費を共にしている場合も該当することがあります。一方で「専ら従事している」とは、他に本業を持ちながら片手間で手伝う程度では認められにくく、学生としての就学が主な状態にも通常は当てはまりません。

パートやアルバイトなど他の勤務先で継続的に働いている家族については、専従性が疑われるため注意が必要です。

年の途中で開業・廃業した場合の扱いです

年の途中で開業した場合や、専従者が就職・結婚などで途中から従事した場合は、原則の「6か月を超える」という期間が緩和され、事業に従事できる期間の2分の1を超えていれば要件を満たすとされています。年の途中で状況が変わったときは、従事可能期間の算定が複雑になりやすいため、慎重に確認することをおすすめします。

扶養控除・配偶者控除との重複はできません

専従者控除の対象になった家族は、その年について配偶者控除や扶養控除の対象にすることはできません。たとえば大学生の子を専従者にした場合、その子については扶養控除を使えなくなります。扶養控除の年収の壁と合わせて検討し、どちらの制度を使う方が世帯全体で有利になるかを比較することが重要です。

専従者控除を利用する手続きの流れはどうなりますか?

専従者控除は事前の届出が不要で、確定申告書に必要事項を記載するだけで適用できます。ただし記載を誤ると控除が認められないこともあるため、手順を確認しておくと安心です。

申告までの基本的な流れです

  1. 1年間、家族が事業に専ら従事していたことを記録しておく
  2. 確定申告の時期に、確定申告書第二表の「事業専従者に関する事項」欄に氏名・続柄・従事期間・控除額を記入する
  3. 確定申告書第一表の「専従者控除」欄に控除額を転記する
  4. 控除後の所得金額に基づいて所得税額を計算する
  5. 期限内に税務署へ提出し、控除対象の家族についても扶養控除等を重複して記載していないか確認する

専従者控除には青色事業専従者給与のような事前届出書は不要ですが、税務調査などで実際に事業に従事していたかを確認されることがあります。日々の業務内容や勤務時間を簡単なメモや業務日誌として残しておくと、後から従事の実態を説明しやすくなります。

必要になりやすい書類です

税理士選びで迷ったら

地域とご相談内容を選ぶだけで、あなたに合う税理士事務所を無料で比較できます。

無料で税理士に相談する ›
相談リスト
0 / 5
選んだ事務所にまとめて相談する →